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神経因性膀胱
神経因性膀胱|喜連瓜破駅徒歩1分、大阪市平野区の内科・泌尿器科もりもとクリニック

神経因性膀胱とは?

神経因性膀胱とは、脳や脊髄の疾患、神経の障害が原因で膀胱の機能が低下した状態をさします。このために、尿の貯留(蓄尿)や排出(排尿)が適切にできなくなり、トイレが近くなる、尿もれ、尿意はあるのに尿が出ないなど、さまざまな排尿障害が出現します。『外出先でトイレの場所ばかり気にしてしまう』『いつ尿もれするかと不安で、人と会うのが億劫になった』など、そのお悩みは計り知れません。
このページでは、神経因性膀胱の基礎知識から診断、そして治療まで、患者様やご家族の方に役立つ情報を分かりやすく解説していきます。
神経因性膀胱は、その原因となる基礎疾患の治療と並行して、泌尿器科的な管理が非常に重要となる疾患です。原因疾患によっては長期的なケアが必要となることも多く、患者さんやご家族だけで抱え込まず、専門医に相談することが大切だと考えています。「最近、トイレが近くなった」、「尿があふれ出るようにもれる」など、気になる症状がございましたら、当院へご相談ください。
目次

神経因性膀胱の原因は?

正常

尿をうまくためられない
畜尿障害

尿をうまく出せない
排尿障害
神経因性膀胱は障害される部位で出現する症状が異なり、2つに分類されます。主に脳や脊髄下部の障害を上位型(痙性神経因性膀胱)、脊髄下部から末梢神経の障害を下位型(弛緩性神経因性膀胱)に分けます。上位型では膀胱が過敏な状態となり、尿を我慢できず、頻尿や尿もれなどの蓄尿障害(尿をうまくためられない)が出現します。一方、下位型では膀胱がゆるんだ状態となり、尿意を感じにくく、尿閉や溢流性尿失禁などの排尿障害(尿をうまく出せない)が出現します。
例えば、上位型(痙性神経因性膀胱)では、膀胱が過敏になり頻繁に強い尿意を感じるため、外出先でのトイレの心配が絶えなかったり、夜間に何度も起きてしまったりと、生活の質が大きく損なわれることがあります。一方、下位型(弛緩性神経因性膀胱)では、尿意を感じにくく、知らず知らずのうちに膀胱に尿が溜まりすぎてしまい、腎臓への負担が増すこともあります。このように、タイプによって患者さんが直面する困難も異なるため、きめ細やかな対応が必要です。

神経因性膀胱の診断は?

神経因性膀胱の診断において、問診は非常に重要な手がかりとなります。特に、原因疾患(例えば、脳卒中、パーキンソン病、脊髄損傷、糖尿病性神経障害など)の既往歴や治療状況、発症時期などを詳しくお伺いすることで、排尿障害との関連性を推測し、必要な検査を絞り込むことができます。これまでの経験上、患者さんご自身が気づいていない情報が診断のヒントになることも少なくありません。
また、超音波(エコー)検査で膀胱内に残っている尿量(残尿測定検査)を調べたり、尿流量測定検査(ウロフロメトリー検査)で排尿の勢い、量、時間を測定したりして、総合的に診断を行います。

神経因性膀胱の治療は?


治療の目標は膀胱の機能を改善させ、膀胱内に尿がたまり過ぎないようにすることで尿路感染症や腎機能障害などの合併症を予防することです。
蓄尿障害には、膀胱訓練で排尿間隔を徐々に延ばし、膀胱の容量を大きくし、尿を溜めておけるようにしたり、骨盤底筋体操で骨盤底筋を鍛えて頻尿や尿もれを防いだりなど、の行動療法が有効です。薬物療法としては膀胱の過度な収縮を抑える抗コリン薬や膀胱の弛緩を促進するβ3受容体刺激薬が蓄尿機能の改善に有効であり、過活動膀胱と同じ治療法が用いられます。行動療法と薬物療法を組み合わせることで、より効果的に症状の改善を期待できる場合も多く、症状の強さや副作用の出やすさなどを考慮し、薬剤の種類や量を慎重に調整します。
排尿障害には、尿道を広げ、尿の通りを改善してくれるα1受容体遮断薬による薬物療法が中心となります。α1受容体遮断薬は、尿道の緊張を和らげることで排尿を助けますが、効果の現れ方には個人差があります。また、立ちくらみなどの副作用に注意が必要な場合もあり、特にご高齢の患者さんには慎重な投与を心がけています。
薬物療法で十分な効果が得られない場合には、間欠的自己導尿もしくは尿道カテーテル留置が必要となることもあります。
[参考文献]
女性下部尿路症状診療ガイドライン第2版
男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン2023